FIP 診断の検査全種類と費用:動物病院での確定診断ガイド
- curefip.com
- 7月11日
- 読了時間: 9分
猫伝染性腹膜炎(FIP)の診断は、たった1つの検査で確定できるものではありません。動物病院では、問診と身体検査、血液検査、体液検査、画像診断、そしてFIP PCR検査などを組み合わせ、複数の所見を総合して判断します。検査の種類や費用は動物病院や地域によって幅があるため、最終的な検査計画と費用は必ずあなたの担当獣医師に確認してください。
この記事では、FIPの確定診断にたどり着くまでに動物病院で行われる検査の全種類、それぞれが何を見ているのか、そして費用の考え方を、できるだけ具体的に整理します。
FIPの診断はなぜ1つの検査だけでは確定できないのですか?
FIPは1つの検査だけでは確定診断が難しい病気です。原因となる猫コロナウイルス自体は健康な猫にも広く存在し、抗体が陽性でもFIPを発症しているとは限らないためです。
そのため動物病院では、症状、血液データ、体液の性状、画像所見、そしてウイルス検査の結果を重ね合わせ、矛盾がないかを確認しながら診断を進めます。
FIPには「ウェット(滲出型)」「ドライ(非滲出型)」「眼型」「神経型」の4つの型があり、どの型かによって出やすい症状も、優先される検査も変わります。診断は型の見極めとセットで進むと理解しておくと、検査の流れがわかりやすくなります。
FIPの診断で動物病院が行う検査にはどんな種類がありますか?
FIPの診断では、おもに次の検査が段階的に行われます。いずれもあなたの猫の状態に合わせて獣医師が選択するもので、すべてを必ず行うわけではありません。
問診と身体検査
血液検査(血球計算と生化学検査)
体液検査(胸水・腹水の採取と性状確認、リバルタ反応)
画像診断(超音波検査、レントゲン検査)
FIP PCR検査(猫コロナウイルスの遺伝子検出)
免疫染色(免疫組織化学染色)
抗体価検査と炎症マーカー(血清アミロイドAなど)
以下で、それぞれの検査が何を見ているのかを説明します。
問診と身体検査
問診と身体検査は、FIP診断の出発点です。発熱が続く、食欲が落ちた、元気がない、お腹が膨らんできた、黄疸が出たといった経過を獣医師が確認します。
身体検査では体温、可視粘膜の色、リンパ節、お腹の張り、目の状態、神経症状の有無などをチェックします。ここで得た情報が、その後どの検査を優先するかの判断材料になります。
血液検査(血球計算と生化学検査)
血液検査はFIPを疑う重要な手がかりを与えます。FIPでは貧血、リンパ球の減少、総蛋白の上昇、グロブリンの増加、そしてアルブミンとグロブリンの比(A/G比)の低下が見られやすいとされています。
ビリルビン値の上昇(黄疸)が確認されることもあります。ただし、これらはFIPに特有のものではないため、血液検査だけで確定はできず、ほかの検査と合わせて評価します。
体液検査(胸水・腹水とリバルタ反応)
ウェット型が疑われる場合、胸やお腹にたまった体液(滲出液)を採取して調べる検査は診断価値が高い検査の一つです。FIPの滲出液は黄色く粘性があり、蛋白濃度が高いのが典型とされています。
リバルタ反応は、その場で行える簡便なスクリーニング検査です。陽性の場合はFIPの可能性が高まりますが、陽性イコール確定ではないため、ほかの所見と組み合わせて判断します。
画像診断(超音波検査とレントゲン検査)
画像診断は、体液の貯留や臓器の変化を確認するために行われます。超音波検査では腹水や胸水の有無、肝臓・腎臓・リンパ節の変化、腸間膜のしこりなどを評価できます。
レントゲン検査は胸水の有無や心臓・肺の状態の確認に役立ちます。これらは直接FIPを証明するものではありませんが、病変の広がりを把握し、ほかの病気との区別に貢献します。
FIP PCR検査(猫コロナウイルスの遺伝子検出)
FIP PCR検査は、血液・体液・組織などから猫コロナウイルスの遺伝子(RNA)を検出する検査です。滲出液や病変部からウイルス遺伝子が検出されると、FIPの可能性がより強く支持されます。
ただし、健康な猫の腸管にもコロナウイルスが存在しうるため、検体の種類と結果の解釈が重要になります。陰性でもFIPを完全には否定できない点を、獣医師は説明したうえで結果を判断します。
免疫染色(免疫組織化学染色)
免疫染色は、組織の中のマクロファージにある猫コロナウイルス抗原を直接染め出す検査で、FIP診断のなかでも信頼性が高い方法とされています。生検や細胞診で採取した検体を用います。
確実性が高い一方で、検体の採取に体への負担がかかる場合があるため、猫の状態を考慮して実施の可否が判断されます。
抗体価検査と炎症マーカー
猫コロナウイルスの抗体価検査は、ウイルスへの接触の有無を見る検査です。抗体価が高いだけではFIPの証明にはならないため、補助的な位置づけになります。
血清アミロイドA(SAA)などの炎症マーカーは、体内の炎症の程度を示し、経過の評価にも使われることがあります。これらも単独ではなく、総合判断の一部として扱われます。
FIPの検査費用はどれくらいかかりますか?
FIPの検査費用は、行う検査の種類と数、動物病院、地域によって大きく変わります。日本では動物医療は自由診療のため、同じ検査でも料金が異なる点をあらかじめ理解しておくことが大切です。
血液検査や画像検査に加え、PCR検査や免疫染色のような外部委託の専門検査が加わると、費用は段階的に上がります。正確な見積もりは検査ごとに差があるため、検査を受ける前に担当の動物病院で内訳と総額を確認することをおすすめします。
下の表は、各検査が「何を見ているか」と「役割」を整理したものです。具体的な料金は記載していません。費用は必ずあなたの動物病院に確認してください。
検査 | 主に見ているもの | 診断での役割 |
問診・身体検査 | 経過と全身状態 | 検査計画の出発点 |
血液検査 | A/G比、グロブリン、ビリルビンなど | FIPを疑う手がかり |
体液検査・リバルタ反応 | 滲出液の性状 | ウェット型で価値が高い |
画像診断 | 体液貯留、臓器変化 | 病変把握と鑑別 |
FIP PCR検査 | 猫コロナウイルス遺伝子 | 可能性を強く支持 |
免疫染色 | 組織内のウイルス抗原 | 信頼性が高い方法 |
FIPの4つの型では診断と治療がどう変わりますか?
FIPはウェット、ドライ、眼型、神経型の4つの型に分かれ、出やすい症状も優先される検査も異なります。そして治療段階に入ると、GS-441524の用量も型ごとに設定されます。
GS-441524は現代のFIP治療の中心となる抗ウイルス成分です。CureFIPの注射剤による単剤治療では、UC Davis(Pedersen, 2019/PMC6435921)で92%の成功率が報告されています。治療は必ずあなたの獣医師の管理のもとで行ってください。
以下は注射剤の型別の用量です。スケジュールはいずれも1日1回の皮下注射を毎日、12週間(84日間)です。
FIPの型 | 主な所見 | 注射剤の用量 |
ウェット(滲出型) | 胸水・腹水の貯留、お腹の張り | 6 mg/kg |
ドライ(非滲出型) | 臓器のしこり、慢性の発熱 | 8 mg/kg |
眼型 | ぶどう膜炎、目の濁りや色調変化 | 10 mg/kg |
神経型 | ふらつき、けいれん、行動の変化 | 10 mg/kg |
ウェット(滲出型)
ウェット型は胸やお腹に体液がたまる型で、体液検査とリバルタ反応、画像診断が診断に役立ちます。注射剤の用量は6 mg/kgです。
ドライ(非滲出型)
ドライ型は明らかな体液貯留がなく、臓器のしこりや慢性の発熱として現れることが多い型です。血液検査、画像診断、必要に応じてPCR検査や免疫染色で診断を進めます。注射剤の用量は8 mg/kgです。
眼型
眼型は目に症状が出る型で、ぶどう膜炎や虹彩の色調変化、視覚の異常が見られます。眼科的な評価が診断に加わります。注射剤の用量は10 mg/kgです。
神経型
神経型はふらつき、けいれん、行動の変化など神経症状を伴う型です。診断には神経学的検査や画像評価が重要になります。注射剤の用量は10 mg/kgです。
CureFIPの治療にはどんな選択肢がありますか?
CureFIPはGS-441524を中心とした抗ウイルス治療を提供しており、2019年以降、ネットワークを通じて100,000頭以上の猫が治療を受けてきました。注射剤と経口カプセルの両方があり、猫の状態と型に応じて獣医師と相談しながら選びます。
注射剤には濃度の異なる製品があります。経口の選択肢としては、GS-441524とEIDD-1931を組み合わせた製品があります。
製品 | 強度・内容 | 価格 |
CureFIP™ GS-441524 Injectable 20mg/ml | 20 mg/ml | €79.00 |
CureFIP™ GS-441524 Injectable 30mg/ml | 30 mg/ml | €89.00 |
Cure FIP Antiviral 40mg/ml | 40 mg/ml | €119.00 |
CURE FIP™ Dual Antiviral Oral Capsules | GS-441524 + EIDD-1931 | €179.00 |
GS-441524とEIDD-1931を組み合わせた二剤併用については、Li and Cheah 2025で78.3%の寛解率が報告されています。CURE FIP™ Dual Antiviral Oral Capsulesは体重ごとに用量が設定されており、2.5 kg未満はGS-441524 25 mg + EIDD-1931 5 mg、2.5〜5 kgはGS-441524 35 mg + EIDD-1931 8 mg、5 kg超はGS-441524 50 mg + EIDD-1931 12 mgを1日1回です。
この経口二剤併用はウェット型とドライ型向けに位置づけられ、地域によっては眼症状や神経症状が出ている場合、または猫が食事や排便ができない場合には推奨されないとされています。どの製品が適しているかは、診断結果をもとにあなたの獣医師と決めてください。
FAQ
FIP PCR検査が陰性ならFIPではないと言えますか?
いいえ、PCR検査が陰性でもFIPを完全には否定できません。検体の種類やウイルス量によって検出されないことがあるため、症状や血液検査、画像などほかの所見と合わせて獣医師が総合的に判断します。
FIPの確定診断にはどの検査がいちばん信頼できますか?
組織内の猫コロナウイルス抗原を直接染め出す免疫染色(免疫組織化学染色)は、FIP診断のなかでも信頼性が高い方法とされています。ただし検体採取に体への負担がかかる場合があるため、猫の状態を見て実施可否が判断されます。
抗体価が高ければFIPと診断されますか?
いいえ、抗体価が高いだけではFIPの証明にはなりません。猫コロナウイルスは健康な猫にも広く存在するため、抗体価検査はあくまで補助的な情報として扱われます。
検査費用の総額は事前にわかりますか?
検査費用は行う検査の種類と数、動物病院、地域によって変わります。日本では自由診療のため料金に差があるので、検査の前に担当の動物病院で内訳と総額を確認することをおすすめします。
診断がついたらすぐに治療を始められますか?
診断後の治療開始の時期や用量は、FIPの型と猫の状態によって決まります。GS-441524を用いた治療は必ずあなたの獣医師の管理のもとで進めてください。
診断は不安の大きい時間ですが、検査の意味を理解しておくと、獣医師との相談がぐっとスムーズになります。治療の選択肢についてもっと知りたい方は、CureFIPの治療ガイドはこちらからご覧いただけます。最終的な検査と治療の判断は、あなたの担当獣医師と一緒に決めていきましょう。

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